2011年12月6日火曜日

「京都会館のより良き明日を考える−京都会館の適切な保存改修のために」

■概要
会名  第2回緊急シンポジウム「京都会館のより良き明日を考える−京都会館の適切な保存改修のために」
日時  2011年12月18日(日)13:30−16:30
会場  京都会館・会議場(京都市左京区岡崎公園内,地下鉄東西線「東山」駅から徒歩8分)
    http://www.kyoto-ongeibun.jp/kyotokaikan/
申込  申込不要,当日先着順,会費無料(カンパ歓迎),定員300名
問合先 メール kyotokaikan.taisetu@gmail.com 
     HP   http://kyotokenchiku.blogspot.com/
主催  京都会館を大切にする会+京都会館再整備をじっくり考える会


パネリスト
[第1部]
槇文彦(建築家,元・東京大学教授,「京都国立近代美術館」設計者)
富永讓(建築家,法政大学教授)
鈴木博之(建築史家,青山学院大学教授,東京大学名誉教授,DOCOMOMO Japan代表,「明治村」館長)
[第2部]
花田佳明(神戸芸術工科大学教授)
横内敏人(建築家,京都造形芸術大学副学長,元・前川國男建築設計事務所々員)
西本裕美(オペラ愛好家,「京都会館再整備をじっくり考える会」事務局長)
司会
松隈洋(建築史家,京都工芸繊維大学教授,元・前川國男建築設計事務所々員)


■主旨文
京都会館は、京都の戦後復興の象徴であり、市民のための公会堂として、高山義三市長のリーダーシップの下、建築家・前川國男の設計により、1960年に開館した複合文化施設です。
その後、半世紀にわたり、岡崎地区の風景の一部として市民に親しまれ、合唱コンクールや吹奏楽コンクールなど、市民の文化活動の拠点として、幅広く活用されてきました。
また、優れた建築として、1960年度の日本建築学会賞と建築年鑑賞を受賞し、近年では、DOCOMOMO Japanにより、日本の近代建築100選にも選ばれて海外にも広く紹介されるなど、高く評価されています。
しかし、2011年6月、京都市は、「京都会館再整備基本計画」を策定し、公表しました。
その内容は、2000席の第1ホールをすべて取り壊し、世界的なオペラを誘致できる舞台をもつ劇場を建て替えるなど、建物の半分以上をつくりかえようとするものです。

こうした計画に対しては、京都市長あてに、日本建築学会長やDOCOMOMO Japanから、いち早く保存要望書も提出されました。けれども、計画は何ら変更されることなく、6月下旬には、極めて限られた設計者しか参加できない形で建物の基本設計者を決める公募が行われ、8月1日に締め切られました。た。けれども、応募者が皆無だったため、応募資格条件を大幅に緩和して、9月12日まで再公募が行われ、基本設計者(香山壽夫)が選定されました。現在、基本設計が進められています。

そもそも、今回の計画の決定については、経過が不透明であり、市民にはまったく公開されていません。このままでは、建物の価値は大きく損なわれ、巨大な舞台の建設により、落ち着いた周囲の景観も破壊され、市民のための公会堂として建てられた建物の性格も失われてしまいます。

そこで、10月10日に続き、第2回の緊急シンポジウムを開催します。第1部では、京都会館に近い京都国立近代美術館の設計者であり、生前の前川國男と深い親交のあった建築家・槇文彦氏と、前川國男の建築の特質について詳しい建築家・富永讓氏、そして、近代建築の歴史と保存についての第一人者である建築史家・鈴木博之氏を東京からお迎えし、京都会館と前川國男の求めた建築の価値について議論していただきます。また、第2部では、近代建築の保存活動の経験も豊富な花田佳明氏と、京都在住で京都会館に慣れ親しんだ建築家・横内敏人氏、オペラ愛好家・西本裕美氏をまじえ、京都会館の価値を守りながら、よりよい保存改修をするために何が必要なのか、多角的に議論します。

パネリスト・プロフィル
槇文彦:1928年東京都生まれ.1952年東京大学工学部建築学科卒業.1953年クランブルック・アカデミー・オブ・アート修士課程修了.1954ハーバード大学大学院修士課程修了.ワシントン大学准教授,ハーバード大学准教授を経て1979-89年東京大学教授.主な作品に名古屋大学豊田講堂,代官山ヒルサイドテラス,京都国立近代美術館,風の丘葬祭場.主な受賞に日本建築学会賞(作品賞,大賞),プリッツカー賞.

富永讓:1943年台北市生まれ.1967年東京大学建築学科卒業.1967-72年菊竹清訓建築設計事務所勤務,主な担当作品に京都信用金庫。1972年フォルム・システム研究所勤務.1973-79年東京大学建築学科助手.2002年-法政大学教授.主な設計作品に茨城県営長町アパート,ひらたタウンセンター,成増高等看護学校.主な受賞に日本建築学会賞(作品),JIA環境建築賞.

鈴木博之:1945年東京都生まれ.1968年東京大学建築学科卒業.同大学大学院博士課程を経て,1974年東京大学専任講師.1974-75年ロンドン大学コートゥールド美術史研究所留学.1978年東京大学助教授を経て,1990-2009年東京大学教授.2009年-青山学院大学教授.近年の単著に『都市のかなしみ、建築百年のかたち』,『場所にきく、世界の中の記憶』,『建築の遺伝子』.主な受賞にサントリー学芸賞,日本建築学会賞(論文).

花田佳明:1956年愛媛県生まれ.1980年東京大学工学部建築学科卒業.1982年東京大学大学院工学研究科修士課程修了後,日建設計,神戸山手女子短期大学を経て,1997神戸芸術工科大学助教授.2004-同大学教授.主な著書に『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』,『再読/日本のモダンアーキテクチャー』(共著), 『植田実の編集現場』.日建設計での担当作品に住友生命OBPプラザビル・いずみホール.主な受賞に日本建築学会教育賞.

横内敏人:1954年山梨県生まれ.1978年東京芸術大学美術学部建築科卒業.1980年マサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了.アーキテクチュアル・リソーシズ・ケンブリッジ(米国),前川國男建築設計事務所を経て,1991年横内敏人建築設計事務所設立.京都芸術短期大学専任講師を経て,1991年京都造形芸術大学専任講師.1994年同大学助教授.2000年同大学教授.2005年同大学副学長.主な設計作品に三方町縄文博物館,京都造形芸術大学・未来館.主な受賞に京都市景観・まちづくり賞優秀賞,京都府文化功労賞.

西本裕美:オペラ愛好家.1972年茨城県生まれ.1995年京都大学石油化学科卒業,化学系技術者として働きながら,環境系の市民運動と研究を行う.京都大学大学院博士課程在学中.デンマークで偶然観たオペラに惚れ込み,以来国内外合わせて年間鑑賞公演数30~40件というオペラ漬け生活を送っている。

松隈洋:1957年兵庫県生まれ.1980年京都大学工学部建築学科卒業.1980-2000年前川國男建築設計事務所勤務.2000年京都工芸繊維大学助教授.2008年-京都工芸繊維大学教授.主な著書に『近代建築を記憶する』,『建築家・前川國男の仕事』(共著)『前川國男 現代との対話』(共編書),『坂倉準三とはだれか』など。















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